黄金郷めざして大冒険のロマンあふれるシミュレーション
ジャンルとしてはシミュレーションですが、自動で動き回るネズミ達に指示を与え、効率の良いクラフトを行わせて危険な砂漠の度を続ける、見た目よりも忙しめなRTS(リアルタイムストラテジー)的なゲームです。
タイトル最後の「改」とありますが、元は3DSで発売されたものをSwitch向けに追加要素を加えて移植したものであるためです。
ゲーム概要
とある惑星。砂漠を進む船の中に住むネズミ(地球ではないので、正確にはネズミっぽい知的生命体)の一行が主人公です。ゲーム開始直後、「砂漠の主」に船を沈めれた主人公たち。何とか残った小さな船で、どこかに存在すると言われる黄金郷を目指して旅立ちます。
最初はチュートリアルから始まりますが、ネズミたちは最初はうろうろしているだけです。プレイヤーが船に施設(ハシゴやらブリッジやら)の建築指示を行うと、手の空いているネズミが自動的に必要な資源を手に建築を行ってくれます。
エンジンは最初から付いているので、ブリッジを作ってエンジンをスタートさせれば隣の拠点に移動することが出来ます。移動中は砂漠で様々なスクラップを入手する事が出来ます。そのままでは利用できないので、ワークベンチという施設でスクラップから鉄板やネジ、鉄パイプなどを抽出して新しい施設制作のリソースにすることが出来ます。
ある程度進むと拠点にたどり着きます。拠点には他のネズミ達が住んでおり、市場やクエスト、噂話を(有料で)聞く事ができます。
最初は無一文からのスタートです。チュートリアル的には最初に貰える「形見の金時計」を市場で売却して当面の資金を入手するのですが、クエスト(資材などを納品する事で資金や食料、燃料を報酬としてもらえる)を達成する事でも何とかなりますので、「形見の金時計」を売らずにクリアする事も可能です。(クリア時に実績が貰えます)
噂話は単純な世間話のほか、新しい施設を作るための情報(ただし、聞かなくても資材さえあれば作れる)、新しい拠点の情報を聞く事ができます。新しい拠点に行くための噂話は大体高いので、まずは行ける拠点をぐるぐる回ってスクラップを回収、船内の施設を充実させつつ余った資源はクエストに納品(市場で売る事もできますが、非常に安いのでクエスト納品が基本です)して資金を稼ぎ、新しい拠点へ進んでいく…という流れを繰り返して黄金郷を目指します。
砂漠にはたくさんの物が落ちている上に時にはイベントもありますが、基本的に砂漠ですので食べ物や水が落ちている事は無いので気を付けましょう。船の移動には燃料も必要ですので、ネズミ達の食料、船の燃料、そしてゲームを進めていくと現れる敵に船を撃破されないよう、十分な準備をしつつ進んでいく事になります。
良い所
ゲーム的にもプレイヤー的にもどんどん効率が良くなっていくクラフト要素
ゲーム概要で述べたように、砂漠で拾ったものから資源を取り出すのですが、最初はワークベンチしかありません。ですが、ゲームを進めていくとワークベンチでは扱えない鉱石が出現し、それを溶かすための施設である炉や、さらに複雑な工業製品を作成できるファクトリーなど、少しずつ新しい施設を作れるようになっていきます。また、それぞれの施設は基本的にアップグレード可能で、更に様々な物が作れるようになっていきます。
面白いのは異なる施設であっても同じ資源を作れることで、例えば序盤から砂漠で拾える「ローファイスクラップ」は、ワークベンチでは「鉄板」、「クギ」、「鉄パイプ」のどれか1つに変換することが出来ます。
しかし、後で作れるようになるファクトリーでは、1つの「鉄板」から、4つの「クギ」もしくは「鉄パイプ」を作り出すことが出来るので、ワークベンチで「鉄板」にしてからファクトリーで「クギ」もしくは「鉄パイプ」に加工すれば生産効率が段違いである事が分かります。
このように、プレイヤーがゲームに慣れてきた頃に新しい施設との組み合わせで今までより効率の良い生産が可能になっていくよう調整されており、またある程度お金が稼げるようになってきたタイミングで次の少し大き目な船に乗り換えられるようになるなど、プレイヤーの成長に合わせた導線が非常にしっかりしていて、プレイしていて楽しいです。
また二週目以降のプレイにおいてはあらかじめ重要な資源とそうでない資源が分かっているので、序盤の内に必要な資源をしっかり確保しておくなど、先を見越した効率的なプレイも楽しめます。
かわいらしくも厳しい、独特で印象深い世界観
ネズミが主人公、しかもドット絵という事でかわいい雰囲気ですが、実際はゲーム内容も世界観もかなり硬派です。ネズミ達はイベントや戦闘での怪我で普通に死んでしまいます。(ネズミだけあって寝床さえ確保されていればすぐに増えますが)
またこのゲームの舞台は地球では無いにも関わらず、なぜか地球人も居たりします。なぜ地球人がここに居るかは各拠点の噂話を聞いていくと少しずつ明らかになっていくので、ここでは詳しく触れないでおきますが、彼らの身に起こった出来事はかなり悲惨だったりします。
新しい拠点で噂話を聞いて、少しずつこの惑星で何があったのか明らかになっていくのも中々楽しいですし、道中のイベントも某映画を思わせるような演出もあったりで、全体的に良い雰囲気です。またBGMも個人的にはとても気に入っています。
賛否両論っぽいところ
要求される資材のハードルが高い
新しい拠点に行くための噂話はお金さえ払えば良いのですが(ただし、最後はかなり高額)、お金以外の資源が必要な施設やクエストがかなり厳しいです。当然ですが、上位の資源になればなるほど幾度も工程を経て完成させることになります。炉で溶かした建材をラボで作った薬品とワークベンチで作った部品を材料にファクトリーで作る、といった感じです。
当然ですが、それぞれの施設で資源不足に陥って生産が止まってしまったら完成品は作れません。後半になればなるほどこの工程は複雑になるのですが、苦労してようやく1つ完成するような完成品をクエストで複数個平気で要求されたり、新しい施設を作るための部品のごく一部にしか過ぎないなど、重要な部品をきちんと把握し常に一定数在庫を用意しなければならない、なかなか厳しいバランスです。
とくに初プレイ時は新しい拠点を見付けたらすぐに行ってみたくなるところですが、ぐっとこらえてきちんと準備(特に武装や弾薬など)を整えてから向かうようにしないといけません。
この辺りは、せっかちな人にはストレスが溜まるポイントかも知れません。
イマイチに思うところ
操作性やUIにやや不満あり
オリジナルが3DS版でペン操作前提であったせいか、操作性やUIについては少し面倒かな、と思う時があります。作業をしていないネズミはその辺をうろうろ動き回るのですが、施設を選択する時にたまたまネズミが重なると、ネズミの情報画面が出てしまったりします。同様に、アイテムが倉庫に収まりきらなくなった時は通路に放置されますが、これも施設と重なるとアイテムの情報画面が出てしまいます。
一応、画面を拡大すればちゃんと施設の選択はできますし、アイテムについてはそもそも倉庫に収まる範囲に管理すれば良いのですが、実際はなかなか難しいところです。
ネズミもそれぞれ違う名前を持ち所持スキルなど個性があるのですが、見た目が同じなので色分けくらい出来たらよかったかなと思います。
また、施設へ作業指示を出す時に最大5つまでタスクを予約できるのですが、それぞれのタスクは1回きりか繰り返すかの二択しかありません。繰り返す場合はいずれかの資源が不足するまで延々と作り続けるので、うっかりしていると他の用途にも使う資材が枯渇してしまいがちです。また、複数のタスクを登録しているときに途中で資材が不足すると、スキップなどは行われずそのタスクで止まってしまいます。(施設には進捗バーが常に出ているので注意すれば分かるのですが、船が大きくなってくると見落としがち)
個人的には、「5回繰り返す」とか「10回繰り返す」のような回数指定が出来れば良かったです。
まとめ
慣れない内は効果の薄い施設を作って資源を無駄にしたり、後々重要になってくる資源(電池とか)をクエストで大量消費してしまったり、中ボスが何の警告も無くやたら強かったりとなかなか難しく、時間もかかるゲームではあります。
しかし、食糧問題や資源問題にうまく対応して安定して施設が稼働するようになっていく過程は非常にやりがいがあり、純粋に面白いと言えます。
ただ、かなり複雑な工程の制作を要求されるので考えることが多く時間泥棒なゲームですので、その点はご注意ください。筆者もつい徹夜してしまったことがあります。
主なロード時間(演出による待ち時間含む)
計測対象 | 待ち時間 | 備考 |
---|---|---|
起動からタイトル画面まで | 約15秒 | 起動後、タイトル画面(メニュー)が表示されるまでの時間 最初のメーカーロゴはすべてスキップ不可だが短め |
起動直後のロードも短く、その後は一切ロードがありません。ロードから始めても一瞬で再開。ここまで快適なのは珍しいです。
コメント