ノースガード

レビュー
出典:My Nintendo Store

戦いだけじゃないRTS。内政好きな方へ

  北欧神話をベースにしたRTS(リアルタイムストラテジー)ゲームと紹介されている、バイキングを操作して土地を開拓し、敵対勢力と戦い、あるいは交易して自勢力を強くして勝利条件を満たすゲームです。
 先に謝っておきますと、レビューしておきながら私はRTSというジャンルのゲーム経験が少ないです。SFC時代の「伝説のオウガバトル」までさかのぼらなければなりません。そもそも日本ではリアルタイムよりターン制ストラテジーの方が盛んですね。「大戦略」シリーズとか、「ファイアーエムブレム」シリーズとか、「スーパーロボット大戦」とか。
 海外でもターン制ストラテジーは人気で、「XCOM」シリーズや「シヴィライゼーション」シリーズが有名です。

 今回レビューする「ノースガード」は上記の中ではプレイ感覚は(リアルタイムである点を除けば)「シヴィライゼーション」が近いと思います。自分の勢力の土地や人口を増やして豊かにすることが重要で、相手を武力で倒す以外にも勝利条件がある、などの共通点があります。

 なお、このゲームはマルチプレイヤーモードも有るのですが、私はマルチプレイヤーでは遊んでおりませんので、レビュー対象から除外させていただきます。ご了承ください。

ゲーム概要

 ゲームモードは「ストーリー」、「シングルプレイヤー」、「マルチプレイヤー(レビュー対象外)」の三つがあります。ストーリーは部下の裏切りで父を殺された主人公が新しい族長として敵討ちの旅に出る、と言うシンプルなもので、ゲームに馴染みやすいように最初の方はシステムの一部をオミットしてプレイしやすくなっていおり、チュートリアル的な役割です。まずはこちらのプレイをお勧めします。
(と言っても終盤は難しくなるので、必要なら難易度を下げましょう) 

 シングルプレイヤーは6種類(DLCで拡張可能)の「クラン(氏族)」から一つ選び、複数の敵勢力と様々な勝利条件の内どれか一つで勝利する事が目的です。どのクランも、最初は海岸からスタートで、出会うまでは少し距離があります。
 その間に勢力の富国強兵に努め、選んだクランや状況を見据えて一番達成しやすい勝利条件に向けてゲームを進めていきます。

 ゲーム開始時は土地と言っても一区画しか無いですし、あとは数人の村人と僅かな資源(食料、木材、お金)しかありません。なお、開始するクランによって開始時の資源にボーナスが付いたりします。
 この段階では周囲が全く見えないので、最初に「斥侯」を出して見えない部分を明らかにする必要が有ります。そのために「斥候訓練所」の建設を指示します。すると村人が言われた通りに建築を始めて、完成したらその建物で村人を斥侯にする事が出来るようになります。すると斥侯が周囲の地域を偵察しますので、それでようやく周囲が判明します。
 隣接した区画の中から、食料を一定数消費して「入植」が出来ます。こうやって未開の土地を広げ、人口を増やしクランを強くしていきます。 

 ここで、村人は建設を行うほか、僅かですが食料生産をしてくれる事にご注意してください。つまり上記のように村人を斥侯にすると、その分食料生産が減るわけです。入植や生活のために食料が必要である事を考えると、土地や人口を増やす一方で食料生産の確保が極めて重要な事が分かると思います。
 食料以外にも、建物を建てるだけでなく冬場の暖を取るために消費される木材、兵士の雇用、アップグレードや貿易等に必要となるお金。そしてアップグレードに必要な石材や鉄など、様々なリソース管理が必要になってきます。
 建物も、まず伐採所を作らないと他の建物が作れなかったり、本拠地をアップグレードしないと他の建物がアップグレードできないなど、何事にも手順が必要で、発展するためには何を優先していくのか、常に選択を迫られます。

 何度か遊んでいる内にコツは分かってくると思いますし、ルール自体は覚えやすいのではないかと思います。プレイヤーはヴァイキングなのですが、ここまで書いてきた通り戦いよりも、いかに内政を充実させてクランを豊かにするかが鍵となり、内政が重要なRTSになっています。
 シングルプレイヤーのマップ規模:中で、クリアまで大体1時間半程度でしょうか。

 なお、翻訳はちょっと独特な言い回しも有ったりしますが、許容範囲だと思います。

良い所

自勢力を強くしていく楽しさ

  最初の内は食料や木材の確保に奔走し、働き手となる村人もなかなか増えないので大変です。しかし軌道に乗ってくると消費の激しい冬場でも食料や木材が増えるほどの豊かな土地に変える事も出来ます。限られたリソースの中で、どの土地を優先して取れば良いのか、施設をアップグレードするか、それとも兵士を強くするのか、など色々考えて、安定した勢力に出来た時の満足度はかなり高いです。
 リアルタイムではありますが、信長の野望のようなSLGで内政が好きな人はこのゲームのシステムも好みに合うのではないかと思います。

敵の土地を奪うのが必ずしも最適解ではない奥深さ

 最初の内は敵の土地を奪って自分の領土にするのが強くなる近道かと思っていたのですが、どうもそうではなかったようです。むしろ目指す勝利条件によっては、数区画広げるだけで十分だったりします。
 入植の時に必要な食料は土地を増やすごとに増えていきます。最初は20で済むものが、やがて500とか要求されるようになります。なので気軽に入植する事ができず、本当に必要な土地を見極めなければなりません。いくら敵の土地を奪って食料を生産する施設を奪えたとしても、考え無しではやがて維持できなくなります。
 また、敵も当然こちらの土地を狙ってくるわけで、あるクランと戦って土地を奪っていったら別のクランの土地と隣接して、そっちから攻め込まれてしまう事もあります。二つ以上のクランと同時に戦闘状態になってしまうと、事前に戦力を整えていても極めて困難な戦いを強いられます。
 なので、敵に回したくないクランとは国境を隣接させないように敢えて入植しないでおくなど、先を見据えたプレイを要求され、それが奥深さに繋がっています。

 恐らくゲームバランス的に敵クランを全員倒しての制覇勝利は現実的では無く、勢力が順調に広がれば自然と他の勝利条件、交易勝利とか名声勝利とか、そちらが達成できたりします。ゲーム開始時のルールで勝利条件を制覇のみに限定するオプションが有るので、開発側も想定済みと思われます。

賛否両論っぽいところ

致命的ではないが、やや運任せ(シングルプレイヤー時)

 序盤は開始地点に隣接する3~4区画に入植するわけですが、その時に「狼などの敵が占拠していない森林」があると有利です。森林は伐採所を建てた時の材木生産量が10%アップし、何のデメリットも無いので条件としては申し分ありません。
 逆に言うと隣接地域に森林が無かったり、あっても敵に占拠されている場合は最初の建設地としては選べません。他にも食料生産地は恐らく隣接地域に必ず一つは登場するようですが、その種類が農地、狩場、漁場の三種類で、できれば生産力が一番高い農地が欲しいところです。この辺りは運が絡んでしまいます。
 ただ、伐採地が複数あっても構いませんし、農地も冬場は生産性が落ちる等のデメリットもあるので、後で十分挽回可能で、そこまで深刻では無いかもしれません。

 それとは別に、時々マップ上に世界樹などの特殊な地域が作られることが有ります。この地域を一定時間占領するなどの条件を満たすと、通常の勝利条件とは別に特殊勝利となります。
 マップの中央に出現するのでどの勢力からも距離は同じなのですが、途中行き止まりが有ったりなどでアクセスが悪く、辿り着く前に他のクランが特殊勝利条件を満たしてしまう、という事態が発生する事も有ります。また、その地域を目指そうと領土拡大すると他のクランと隣接して戦闘になりやすく、戦闘向きではないクランで内政勝利を目指そうとした時に特殊エリアが出てくると困ります。

 なお、ストーリーの方はマップや勝利条件は完全固定です。

イマイチに思うところ

操作が複雑

 これは恐らく元がSteamのゲームでマウス操作を前提としたゲームであったものをSwitchに移植したことが原因だと思うのですが、操作はかなり慣れが必要です。
 特に問題なのが兵士の移動で、一度に全員移動するだけならZR+Aボタンで良いのですが、領土が広くなってくると端から端までかなりの距離なので、ある程度分散したくなります。そのため、兵士を最大3グループに分け別々に指定箇所へ移動させることができます。

 しかしこのグループ分けが面倒で、兵士が死んでしまって替わりの兵士を雇っても、その兵士は自動ではグルーピングされず、再度グループに分けなければなりません。
 リーダー(戦士長)はともかく、通常の兵士ユニットは簡単に死んでしまうので、その都度グループを作り直すのは本当に面倒です。PC版ならマウスで直感的に兵士の移動が出来ると思うので、この点はSwitch版の弱点と言えるでしょう。

CPUの裏をかきやすい

 難易度の高いゲームですが、CPUの思考パターン的に勝ちやすい戦術があります。まず、CPUは交易勝利をあまり狙ってこないので、早くから交易勝利を狙って意識的に準備を進めていくとかなり楽に勝てます。交易勝利の基準となる交易ポイントは交易を行うだけで溜まっていき、一度上げてしまえば下がることがありません。他のクランに邪魔される心配が無いので、常にトップになるように気を配っていれば思わぬ逆転もありません。
 注意するのは港や本拠地を奪われない事と、他の勝利条件を達成されないよう注意する(CPUが狙いやすいのは特殊勝利と名声勝利)位です。

 また攻め込まれた際も、真正面から立ち向かうのではなく、見張り台を作っておいてわざと兵士を別の地域に逃がしておき、敵が見張り台を壊そうと攻撃を始めたら防衛に入るようにすると、敵が見張り台を攻撃している背後を突く事ができ、こちらはダメージを食らわず安全に倒せます。この方法を使えば、防衛戦はかなり楽になります。

 交易勝利については縛る事もできます。勝利目前となっても交易を止めればポイントは一切増えないので、プレイヤーの意思で交易勝利をキャンセルできます。あと、勝利した後もプレイは続けられるので、さらに別の勝利条件を狙っても良いでしょう。
 戦闘の問題については、防衛戦専用のテクニックであること、どうもCPUがズルしてるっぽい(ある程度の数の兵士を倒したのに、どう考えても有り得ないスピードで再び軍勢を揃えて襲ってくる)ので、まあ使っちゃっても良いかなとは思います。

 もちろん、マルチプレイヤーではこんな事は起きないでしょうから、本気の勝負を望むならやはり対人なのでしょうね。

まとめ

 RTSと言うととっつきにくいイメージがあったのですが、ノースガードはシンプルに、それでいてRTSのエッセンスが凝縮した作品であるように感じました。こういう陣取りゲームは時間がかかるものですが、内容の割にはワンプレイが短めなのも良い所です。がっつり遊びたければマップ規模を大にして、勝利条件を制覇勝利のみにして気の済むまで戦うのも良いでしょう。

 ただやはり最初の内は慣れるまで時間が掛かるのと、操作性の問題で投げてしまう人も居るかな、と言うのが正直な感想です。
 とにかくリソース不足に悩まされるゲームですので、そういったやりくりに楽しさを見出せる人であればお勧めできる作品と言えます。

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からタイトル画面表示 17~18秒起動後、タイトル画面が表示されるまでの時間
最初のメーカーロゴはスキップ不可
メーカーロゴ(2回)→タイトル画面
設定を決めてゲームスタート
(マップ規模:中)
28~38秒操作開始可能になるまでの時間
シングルプレイヤー、マップはランダム、
マップ規模中、敵対勢力3
設定を決めてゲームスタート
(マップ規模:大)
45~1分程度シングルプレイヤー、マップはランダム、
マップ規模大、敵対勢力5
ゲーム読み込み
(マップ規模:中)
17~18秒操作開始可能になるまでの時間
上記マップ規模 中で始めた直後のセーブデータ
ゲーム読み込み
(マップ規模:大)
21秒上記マップ規模 大で始めた直後のセーブデータ

 リアルタイムに進行していくゲームなだけあって、ゲーム開始後はロードが無く快適です。ゲーム開始の時だけ我慢しましょう。と言っても、計測してみると意外と短いのではないかと感じます。
 やはりマップ規模が大きいと開始時のロードは長くなるようですが、ゲーム開始までの時間は結構ばらつきがありました。マップがランダム生成であるせいかも知れません。

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