見た目の反して堅実な作りのローグライク
ゲーム画面だけ見るとキャラクターを前面に押し出した印象を受けますが、実際はシステムもバランスも練られたローグライクなゲームです。公式によると「パーティ構築型ローグライク」とのこと。
その名の通りパーティーメンバーを道中で集めていき、パーティーは戦闘時は自動で行動します。私は遊んだことが無かったのですが、ネットでは「オートチェス」との類似性を言及されています。
なお、筆者は本ゲームをとても気に入っているので、ちょっとした攻略記事も書いてみました。すでにお持ちの方の攻略の一助となれば幸いです。
ゲーム概要
ストーリーは最初にムービーが流れるのですが、台詞無しのイラストのみで構成されます。後でキャラ紹介を見れば分かりますが、黒の魔女の手で王国の民や家族を宝石に変えられてしまった主人公(輝石姫アメリ)がダンジョンに向かう、というものです。
王国民が宝石にされてしまったと言う設定のため、主人公はダンジョンの中で次々と宝石=王国民を救出し、彼らを戦力としてパーティーを構築、ボスである黒の魔女を目指す事になります。
ゲーム開始後はまず最初に全階層の概要が表示され、クリア報酬やボス情報が表示されます。そして最初に宝石を三択の中から一つ選んで、ダンジョンが始まります。前述の通り、宝石は姿を変えられた王国民ですので、これが実体化して戦力となってくれます。
メインとなるダンジョンは、見た目はさながら「不思議のダンジョン」です。各階層は細い通路で区切られたいくつかの小部屋で構成されています。ただし移動は部屋単位となり、満腹度に相当する「マナ」も、移動1回につき基本1消費となります。
戦闘が発生すると、パーティーメンバーは勝手に戦います。キャラは基本が通常攻撃、確率でスキル発動のどちらかの行動を取ります。
一方プレイヤーは各ターンの最初にジェムの発動を行う事ができます。ジェムは使う事で敵にダメージを与えたり味方にダメージ軽減を付与したりできますが、種類によってクールタイムが発生するため、強力なジェム使いどころを見極める必要があります。
なお、ジェムには戦闘以外にも移動中に使うものもあります。(代表的なのはマナ回復のジェム)
という事で基本的には強いキャラを集めてパーティーを強くします。パーティー枠以上のキャラは待機枠に入るのですが、これは最大12個まで、かつ最大数に達していなくても一定数を超えると移動時のマナ消費が確率で2になるペナルティがあります。ちなみにマナがゼロになってからの移動はパーティー全員に微ダメージが入るので、キャラ集めとマナ管理がの兼ね合いが重要になります。
しかしそれ以上に重要な事として、各キャラにはカラーシンボルとマークシンボルの二つが設定されており、同じシンボルを持つキャラ同士(同一キャラは除外)を一定数パーティーに参加させることで特殊な効果が発動します。
例えば、紫のマークを持つキャラをパーティーに二人入れれば魔力アップ効果が発生し、魔法攻撃力が上がる、などです。さらに4つ、6つと増やして行けば効果は上がるのですが、パーティー枠は最大でも6(もう一人主人公が居て、そちらは5)なので一度に発動できる特殊効果は、一見少ないように思えます
ここで、キャラのアップグレードという概念が重要になってきます。同一キャラを三つ集めるとアップグレードが可能で、レベル1から2(銀色の星が付く)となります。これでキャラのステータスやスキルが強化されるのですが、それに加えて「パーティーメンバーに居なくてもシンボルが有効になる」という特典が付きます。これが非常に重要です。
この特典は対象キャラを売ってしまっても有効なので、アップグレード済みキャラを売却して待機枠を空けつつ、シンボル効果を継続する事ができます。
レベル2のキャラはさらにレベル2の同一キャラ3人(つまり、レベル1のキャラ9人)集めてレベル3へのアップグレードが可能で、非常に強力になります。ただし、待機枠をかなり圧迫するので、レベル3まで上げるか、レベル2の時点で早々に売ってしまうか、この辺りの管理に非常に頭を悩ませることになります。
良い所
パーティーがどんどん強くなっていく楽しさ
概要で書いたように、キャラを集めて様々なシンボルを発動しいくことで、パーティーが目に見えて強くなっていきます。育成が上手くいけば雑魚敵の攻撃はほとんどゼロになり、仮にダメージを受けても即回復して、常にHPがほぼ満タンで戦い続ける事も可能です。
このゲームは一度クリアすると新しいダンジョンがアンロックされるのですが、「クリアしたダンジョンそのまま+新しい難易度ルール」という積み重ね型の難易度追加となっており、周回の度に少しずつですが着実に難しくなっていきます。(Sray the Spireの難易度調整に近い)
メインとなる魔女の迷宮は9段階の難易度を誇り、後半からは特にボスが強力になるため、そこまでに十分強化できないと手も足も出なかったりします。
それだけに育成が成功してあらゆるシンボルを発動し、もはや把握出来ないほど山盛りのバフ効果で敵を蹂躙していく爽快感は、このゲームならではと言えるでしょう。
程よい簡略化によるテンポ感
不思議のダンジョン的なゲームと書きましたが、階層は最大でも13階層、全体を通して順調にいけばプレイ時間は一時間ほどでしょうか。ダンジョン自体もボスが三体+ラスボスと言う構成で、それぞれのボスを倒すためのパーティ作りという小目標もある事で、中だるみしにくいバランスになっています。
他にも、宝石屋やジェムを錬成できる錬金術屋の購入コストがレア度に関わらず一律、しかも宝石の購入と売却が同一金額と言うシンプルさで計算しやすく、戦闘もジェム使用以外オートという事もあって全体的にストレスを感じないシステムになっています。
(ただし、後述しますが戦闘のテンポについては最初の内は問題ありです。)
賛否両論っぽいところ
白の館(ゲーム要素の解禁)について
ゲームをクリアしたり、あるいはダンジョン探索中に「輝石」というものが拾えます。これはタイトル画面の「白の館」にて新キャラやアイテム、初期所持金の増額などの解禁が行えるものなのですが、この仕様が少々厄介に感じます。
すべての要素がランダムで選ばれた三種類から一つ選択して解禁するというものなのですが、その中に「戦闘スピードの加速」という要素があります。実際試すと分かるのですが、一度戦闘スピードを加速したら、もう戻す気になれないと思います。必須級と言っても良い要素なので、これは最初からオプションとして選べるようにすべきで、解禁要素にしなくても良かったかなと思います。
このゲームを始めてみて「戦闘が遅いなあ」と思った方は、まずは我慢して戦闘スピード加速の解禁を目標に頑張ってみてください。
また、キャラやアイテムの解放も、それによって抽選で欲しいキャラやアイテムが出る可能性が下がってしまう事になり、逆にクリアが遠のく結果にもなります。つまり、
パーティー全滅→白の館でキャラ解放→さらに難易度が上がる(ように感じる)
という悪循環に陥ってしまいがちです。もちろんゲーム的には全開放状態での調整がされているはずで、序盤に集めるべきキャラやシンボルなど効率的な強化を心がければむしろ最終的にはより強くなるはずなのですが、システムに慣れない内は難しいです。結果的に初心者ほど前述の悪循環に陥りやすくなってしまいます。
この辺りは「Ring of Pain」でも感じた問題なので、要素を解禁していくタイプのゲームの宿命かも知れません。「Dead Cells」では解禁したアイテムの中からゲームに出すアイテムを制限できるモードがあります。このような設定が出来たら尚よかったかも知れません。(キャラはともかく、装備品やジェムには明らかに使わない物があるので)
自動生成の弊害
本ゲームがローグライクである以上、どうしようもない問題ではあるのですが、やはり運要素が大きい点は否めません。特に高難易度になってくるとほぼ必須なシンボルが分かってくるのですが、出ない事にはどうしようもありません。
特に序盤はリソースが限られるので宝石店も有効に利用できず、最初のボスと対峙するまでにどうやってもパーティー育成が間に合わないケースも出てきます。
また各部屋で起こるイベントも最初の一度きりなので、例えば新しい階層が始まった直後にマナ回復のイベントがあっても、スキップして後で使うという事が出来ず、無駄な回復になってしまう事があります。何らかのデメリットがあっても良いので、イベントをスキップして後から回収できる仕様だったらと思う事が度々ありました。
イマイチに思うところ
独特な操作性とUI
このゲームを遊んで最初に違和感を感じたのが、操作性です。Switchは左側にアナログ方向キーと4ボタン式の上下左右キーが存在するのですが、この4ボタンの内左、上、右が三つから選ぶ時の左、真ん中、右に対応しています。大抵のゲームが方向キーで選んでAで決定、という作りなので、面喰らう人も多いのではないでしょうか。特にSwitch Liteの場合、この4ボタンは完全に十字キーになっています。他にも宝石屋で売却する際の選択も間違えやすく、最初の頃は編成するつもりでキャラを売却してしまう事もありました。
いずれも気を付ければ良い問題ではあるのですが、別のゲームをやった後だったり、久しぶりに遊んだりすると、やはり間違えます。この辺りはオプションで操作方式を選べても良かった気がします。
また、カラーシンボルに非常に見分けにくいものがあります。具体的には「紫」と「ピンク」です。これは非常に見分けづらく、特に慣れない内は間違えてしまう人も多いと思います。
メーカーも認識しているのか、オプションに「シンボルの明瞭化」という項目が設定されており、これをオンにするとマークの中に文字が現れるので区別は付きます。(「PPL」と「PNK」)
ただ、これも携帯モードでは読みにくいので一長一短。紫とピンクだけ何とかしてもらえば良いので、もうちょっと色味を工夫するだけでも十分見分けられたのでは?と感じました。
まとめ
Switchのローグライクは数多くありますが、本ゲームは完成度、遊びやすさは総合的に高いレベルでまとまっており、個人的には気に入ったゲームの一つになっています。
プレイヤーキャラも二人おり、それぞれ有効な攻略方法は異なりますので、短時間で遊べてしかも歯ごたえのあるゲームを求めているなら是非検討して欲しいですね。
主なロード時間(演出による待ち時間含む)
計測対象 | 待ち時間 | 備考 |
---|---|---|
起動からメニューが選択できるまで | 約14秒 | 起動後、タイトル画面が操作できるようになるまでの時間 (BGMがなり始めた瞬間) 最初のメーカーロゴは飛ばせない タイトル画面表示直後にAボタンを押すとメニューが出るが、 ロードが終わっていないと操作できず、最初はちょっと戸惑う |
起動直後以外でロードを感じるような事は無く、実に快適に遊ぶことが出来ます。この点からも、本ゲームが丁寧に作られていると感じます。
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