Curious Expedition

レビュー
出典:My Nintendo Store

極めて好みの別れそうな、ボードゲーム風探検ローグライク

 タイトルは直訳すると「奇妙な探検」と言った感じで、19世紀後半を舞台に、冒険者たちが未開の地へ探検を行うローグライクのシミュレーションゲームです。Switchでは、すでに続編となる「Curious Expedition2」も発売済みですが、今回のレビューは初代の方です。
 メインとなるマップ画面が大戦略でおなじみのヘックス表現で、その見た目だけで興味を魅かれる方も多いのではないでしょうか。

ゲーム概要

 ストーリーは前述の通り、19世紀後半。世界にはまだまだ未開の地が存在し、ある者は研究のため、ある者は名声のため、そしてもちろん財宝のため、冒険の旅に出ます。
 プレイヤーとして選べる探検家は史実の人物で、例えば進化論で有名なダーウィン(実際、若い頃に5年間に及ぶ探検を行っています)、日本にも来たことのある旅行家、イザベラバードなど。ラスプーチンのような意外な人物もいます(調べてみると、しばしば巡礼の旅に出ていたとか)

 選ばなかった人物の内4人はプレイヤーのライバルとして登場します。探検は全部で6つのステージに分かれ、各地に眠る「黄金のピラミッド」を探し当てる事になります。ピラミッドを探し当てるまでの期間や、探検中に見つけた財宝や研究成果を本国に寄贈する事で名声を得ることが出来、この名声で他の探検者と競争して一位を目指すのが目的です。

 人物や時代背景こそ史実に近いですが、実際の探検はファンタジー。巨大サソリや恐竜、果ては亜人種や異世界まで、まさしく奇妙な探検が繰り広げられます。
 マップ画面は前述の通りヘックスで仕切られた升目を移動していく事になるのですが、面白いのは満腹度ならぬ「SAN値メーター」が存在する事です。移動するたび、また地形によって一定数消費し、この値が低くなるとバッドイベントが発生してしまいます。そのため、この値が下がらないように村やキャンプでしっかり休息したり、適切なタイミングで食事をとります。このSAN値の管理が、本ゲーム最大のポイントとなります。

良い所

完璧な探検が出来た時の達成感

 本ゲームの難易度は高く、慣れない内はあっという間にSAN値が無くなったり、危険な獣に襲われてあっという間に全滅、という事がよくあります。筆者も一番易しい難易度ですら本当にクリアできるのか?と疑ったものです。

 ですが、絶対に避けるべき敵やイベントが分かってくるようになると、広大な土地をイメージ通りの順路で探検を行うことが出来るようになるでしょう。基本的に難しいだけに、上手く探検できた時の達成感は大きいです。

未開の地を進む雰囲気が良い

 未開の地を探検する事になる雰囲気づくりとして、例えば各地の原住民には当然ながら通貨が通用せず、物々交換となります。そのため、本国では安い値段で買えるガラス玉が、原住民にとっては非常に高い価値を持ったりします。
 他にも砂漠の地を探検すれば水が非常に重要な生命線となったり、氷河の地なら犬ぞりで拠点間を一気に移動したり、最終マップではトカゲ人類?のような亜人類の村を訪れたりと、他のゲームには無い探検気分を味わう事ができます。

賛否両論っぽいところ

とにかく地味

 本ゲーム、見た目だけでなく色々地味な作りです。探検は、上陸したら村(もしくは休める場所)を見付けて、そこを拠点に周辺の探索。そして財宝やアイテムを手に入れ、他の探検家たちがゴールする前に黄金のピラミッドを見付けてクリア、というパターンとなります。(名声次第ではトップでのクリアを見送り、探索に専念する手もあり)

 ステージが進むたびにマップは広くなっていくので、同じ事の繰り返しで探索の時間だけが伸びていく事になり、人によっては飽きが早いかもしれません。

イマイチに思うところ

時間がかかりやすい

 見た目シンプルでサクサク進むのかと思いきや、特に後半はマップがかなり広くなるので時間が掛かります。もしパーティーが武力型だと戦闘をする事が多くなりますが、戦闘も全体攻撃や大ダメージを与える手段が少なく、毎回毎回多数の敵を一匹ずつ倒していく事になるので、結構時間が掛かります。

 かと言って焦って進めようとするとSAN値があっという間になくなって、回復する手段も無くパーティーは一気に崩壊します。面倒でもこまめな休息と、食料は多めに確保しておく必要があります。
 見掛けに寄らず、ちょっと空いた時間にプレイと言うには向かないゲームです。

一人の死で一気に崩壊しやすい

 このゲームの難易度を上げている要因として、一度完成したパーティーで一人でも欠員が発生すると、一気に厳しくなる点が挙げられます。
 主人公と荷物を運ぶ馬やロバも含め、パーティーは最大5人まで(パーティー枠に入らない例外も居ます)。この状態であると一度に運べる物資もそれなりの量となりますし、戦闘でもかなり有利なので安定します。しかしちょっとしたトラブルで一人でもロストしてしまうと、その時点でまずアイテムの積載量オーバーが発生。冒険に必須ではない財宝などは泣く泣く捨てる羽目になります。
 それだけで済めば良いのですが、もしそのロストした一人が戦闘要員だったら戦力はがた落ち、強力な敵にでも襲われでもしたら一気にゲームオーバーの危険が出てきます。

 そうならないようにSAN値は常に安全圏を保持するのは当然なのですが、困った事にSAN値が十分でも突発的なイベントでキャラをロストする事もあり、ちょっと理不尽な展開に腹を立ててしまう事もあるでしょう。

まとめ

 探検の雰囲気は十分に味わえる本作。少し難しい所もありますが、未開の地を進む事の困難は史実でも同じです。(さすがに恐竜には襲われないでしょうけど)
 しっかりと万全の準備をして、慎重に進めるプレイスタイルが性に合う方であれば楽しめると思います。
 なお、難しすぎると感じる方は、一番簡単な難易度(観光旅行)だけで遊ぶのも手です。これだけでも十分歯ごたえのある難易度です。個人的にはこれより上の難易度で出てくる「磁気を帯びた山」(王黄金のピラミッドの方向を示すコンパスが引っ張られてしまう)が非常に苦手で、これが無ければもう少し評価が高かったかも知れません。 

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からタイトル画面まで 約16秒起動後、タイトル画面(メニュー)が表示されるまでの時間
最初のメーカーロゴはスキップできる。計測はスキップした最短の時間。

調子に乗って連打するとゲームをスタートしてしまうので注意
ステージ開始のロード約10~16秒マップ生成にかかる時間が主なので、後半マップ規模が拡大する程長くなる。
マップ読込後の船移動デモは、Aボタンで加速可能
探検中の一時中断からロード6~8秒こちらもマップの広さによって長くなる
探検の合間の本国でのセーブからは一瞬

 各ステージの度にマップ生成が行われますが、基本的にロードはそれだけ。ゲーム中にロード時間が気になる事は無いと思います。

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