Curious Expedition 2

レビュー
出典:My Nintendo Store

正統な進化を遂げた探検ローグライク

 本サイトでもレビュー済みである「Curious Expedition」の続編となる、探検をモチーフとしたローグライクゲームです。前作に比べるとグラフィックだけでなく遊びやすさもぐっと進化しており、前作よりは万人向けになりました。
 今回は前作との比較を中心に、本ゲームのレビューを行います。

ゲーム概要

 19世紀終盤のパリが舞台となります。最初(チュートリアル)はパリ万博の主催者、ヴィクトリア・マリンとしてスタート。地図に無いはずの島を見付けてそこで謎の機械を発見します。しかし機械を作動させたところ謎の紫の霧が発生、何とか脱出するものの島は消えてしまうのでした。
 何とか調査を行いたいマリンですが、パリ万博の準備もあり探検に出ることができないので、代わりに探検家を雇って調査に向かわせることになります。この探検家がプレイヤーとなります。(初期状態では2人から、特定の条件をクリアする事で最終的に8人から1人を選べます)
 前作では探検家であるかどうかに関わらず同時代の有名人をプレイヤーにする事が出来ましたが、本作は無名の探検家となります。

 上記がキャンペーンモードの流れとなります。前作のような他のライバル達と争うものから、ストーリーに沿って探検を行う仕様に変わりました。前作では探検に時間をかけすぎると他のライバルがゴールしてしまって名声が稼ぎにくいので探検を急ぐ必要がありましたが、本作ではそういう要素はありません。ただ、時間と共に紫の霧が迫って来て地図を覆ってしまう、という事実上の時間制限は存在します。
 キャンペーンモードでは一年ごとに3~4回の遠征を行い、各年の最後には特別な遠征が発生し、ストーリーが展開していきます。通常の遠征の目的は指定ポイントでの測量、ピラミッドの発見、希少な植物の採取、伝説的な怪獣のハンティングなど様々で、これはピラミッドの発見だけが目的であった前作に比べて非常に多様になりました。
 なお、キャンペーンモードとは別に主催者モードも存在し、こちらは年最後の特別な遠征が発生しない代わりに、毎年デメリットと引き換えに名声ボーナスを得ながら6年間に渡る遠征を続け、どれだけスコアを稼げるか、というモードとなっています。

 探検は2Dの見降ろしマップで行われ、最初はプレイヤーの周りしか地形が分かりません。ここから歩くことで未探索地域や拠点を明らかにしていきます。歩く度に画面右上の正気度が減っていきます。これが0になるとバッドイベントが発生するので、正気度が無くならないよう、食料を食べたり村、滝、出発点の船などで適宜休息を取る必要があります。
 探索する島には住民が存在します。彼らは基本的に探検家たちを快く思っていないので、村に滞在するなら良い評判が必要となります。一番楽なのは貢物をすることです。評判が3以上なら村長に会って現地人をパーティーに雇ったり、村の為に協力を申し出たりすることができます。
 評判は、村で休息したり神殿で宝物を略奪するなどの行為で減ってしまいます。評判が下がると休息できなくなったり、最悪の場合は敵対して戦う羽目になるので注意が必要です。ただ、次の探検には持ち越されないので、ゴール間近になったら略奪してから去る、という手が有効です(非人道的ではありますが)
 また、マップには危険な猛獣・怪物もうろついているので、パーティーの装備や能力に応じて戦うか逃げるかする必要があります。象などの襲ってこない動物(アイコンの背景が緑)も居ますが、条件次第で敵対しますので(例えば象の墓を荒らす)、こちらも事前に対応を考える必要があります。
 戦闘では各キャラクターと武器に1つのダイスが用意され、そのダイスの出た目で攻撃を行うシステムです。このダイスは赤、青、緑の色分けがされており、同色のダイスを組み合わせるとブーストとなり、より強力な効果が発生します。
 戦闘だけでなくこのダイスの色によって各種イベントの正否が決まってくるので、各キャラクターがどのような色のダイスを持っているのかも重要な要素です。

 このような事を繰り返し、キャンペーンモードもしくは主催者モードをクリアするのがゲームの基本的な流れです。前作との大きな違いは、すでに触れたライバルとの競争の撤廃やプレイヤーが無名探検家となった事のほか、装備品とスポンサーの存在が挙げられます。
 装備品は前作での武器に相当しますが、前作では武器も所持品の一つとして所持品枠を圧迫していました。本作では手や胴体に装備する事で所持枠を圧迫しなくなりました。これら装備品にはレベルが存在していて強化が可能で、武器だけでなく視界を広げる双眼鏡なども装備品として扱えるため重要な新要素です。
 また、スポンサーも前作に存在しましたが、単純に財宝を寄贈して名声を得るか、売却して資金を得るかの窓口でしかありませんでした。本作では三つのスポンサーが存在し、そこから資金援助を受けて探検を行う形となっています。
 持ち帰った財宝は強制的にスポンサーに寄贈させられ、名声を得る事しか出来ません。それだけでなく装備品やごく一部のアイテム以外もすべてスポンサーに取られてしまい、資金すら手元に残りません。その代わり、報酬としてチケットが貰えるほか、スポンサーがレベルアップして新しい仲間やアイテムを取り扱うようになります。
 チケットはパリだけで使える通貨のようなもので、キャラクターを育成したり、武器をアップデートしたり、闇商人から装備品を購入できたりします。

 難易度は前作同様三段階。一番易しい「旅行者」は前作よりもさらに簡単になった印象です。気軽にストーリーを見つつゲームに慣れるには、旅行者が最適でしょう。

良い所

全体的に遊びやすくなった

 前作は良くも悪くもストイックな作りで、少しとっつきにくい面がありました。本作はとりわけ装備品のおかげで、単純な戦力の増強だけでなく、例えば全体的にダイスに青が少ないので武器で補う、などの対応もできるようになりました。(その代わり、前作はキャラクターのレベルアップでダイスが2個に増えましたが、本作は最後まで1個です)
 他にも宝探しの地図が探しやすくなっていたり、村の評判が上げやすくなっていたり、戦闘もキャラクターの体力が多めにあるため一撃死の危険は少なくなっています。前作ではたった一度の戦闘で全滅、という理不尽な事もあったのですが、そのような危険は大分下がりました。(とはいえ、奇襲を受けるとやはり危険ではあります)

 また、ゲーム進行に合わせて新規に仲間を雇用する場合に最初からレベルが上がった状態で加入してくれたりと(前作ではレベル1からの加入となるので戦力が激減してしまう)全体的に一度の遠征の失敗が致命的にならないよう調整されており、確実に遊びやすくなっています。

成長の機会が多い

 前作、今作共に、遠征が終わるたびに新スキルの取得チャンスがあります。中には所持枠増強や視界を広げるなど非常に有用なスキルがあるので、できれば序盤の内に取りたいところです。
 前作は全部で遠征が6回のためスキル取得のチャンスは5回しか無かったのですが、今作では20回近く遠征に出るため、スキル取得の機会が多く、しかもスキルを重複させてレベルアップさせることもできるようになりました。余程運が悪くない限り、まだ難易度の低い一年目の内にある程度の戦力を整える事ができ、探検の安定度は高くなったと言えます。

賛否両論っぽいところ

休息時の仕様について

 場所に関わらず、休息の度にイベントが発生します。その際、正気度が29以下だとバッドイベント(仲違いイベントなど)の発生頻度が上がってしまいます。ゲーム中で特に説明が無いので気付きにくいです。この仕様は前作も同様で、今作ではそういう仕様は無くなったと思っていたのですが、ちゃんと残っていました。
 なので休息する際に正気度に気を付けないと却って状況を悪くしてしまう事があります。仲違いは病気扱いでは無いので治療できず、仲直りイベントが発生するのを祈るしかありません。

 もちろんグッドイベントもありますし、各種イベントによって難易度調整を行っていると思うので必要だとは思います。
 ただ、休息は頻繁に行う事になるので、毎回何かしらのイベントが起こって対応するのが少々面倒になってきます。バッドイベントは仕方ありませんが、それ以外の時はすんなり休息させてほしいです。(稀に何もイベントが起きない時があるので、その頻度がもう少し高くても良かったのではないかと思います。)

遠征そのものの仕様変更

 すでに触れた通り、前作では他のライバル達と競争する仕様になっていました。そのため、早めに探索を切り上げてトップの名声ボーナスを狙うか、じっくり探索を行って財宝による名声で挽回するか駆け引きが必要でした。
 今作では紫の霧が徐々に迫ってきますが、逆に言えばこの霧に覆われるまでは自由に探索ができるので、時間に追われる感じは前作よりも薄れています。前作のライバルたちの探検の進捗度はCPU任せで不透明だったので、個人的には今作の方がのびのび探索が出来て良いと思いました。ただ、競争の概念が無くなった事を不満に思う方も居ると思います。

 また、遠征後に装備品以外の資金やアイテムがスポンサーに没収されるのは好みが分かれると思います。前作では資金を貯めて出発時に物資を買い占めたり、いつでも休息できる便利なテントをずっと持ち歩いたりできたのですが、今作では出来なくなっています。チケットや不要になった装備品を次の探検時の取引に使うという代替策はあるものの、これも大きな仕様変更です。

イマイチに思うところ

終盤(広いマップの時?)にエラー落ちが多発する

 ゲーム終盤、恐らく冒険の舞台となるマップが広くなるせいだと思うのですが、頻繁にエラー落ちします。エラー落ちしなくても、マップを見渡そうとするとカーソルがしばらく動かなくなるなど、明らかに処理が重くなっているのが見受けられます。
 幸い頻繁にオートセーブが行われているので進行には問題がありませんが、序盤の内は快適な分、調整不足が否めません。

あまり奇妙ではなくなった

 前作で恐竜やサラマンダーと言った要素を出してしまったせいか、今作では新しい種族やモンスターが居るものの、展開的にそれほどインパクトはありません。
 また、プレイヤーキャラが無名の探検家となったため、前作のようにキュリー夫人が行く先々を略奪したり、ラブクラフトがネクロノミコン片手に異世界に降り立ったり、と言った破天荒なプレイができなくなってしまっています。(実在の偉人達に悪行をさせてしまう事に配慮したのかも知れません)
 キャンペーンモードのストーリーも終止ヴィクトリア・マリンに振り回される形で、「プレイヤーだけの冒険譚 」という要素は薄くなってしまったように思います。(その分は主催者モードである程度補うことができます)

まとめ

 エラー落ちは気になりますが、前作に引き続き探検の雰囲気を十分に味わえ、遊びやすさは確実に上がっていますので、未知の世界への冒険を楽しみたい方にはお勧めです。
 前作も粗削りながら各種仕様が異なり、2がすべてにおいて1を上回っているわけではなありません。1プレイクリアまでの時間は圧倒的に1の方が短いので、その時の時間や気分で適している方を遊ぶのも良いと思います。

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からタイトル画面まで 約20秒起動後、タイトル画面が表示されるまでの時間
最初のメーカーロゴはスキップできる。その後のロード進捗バーはあまり当てにならない。

タイトル画面でボタンを押すとユーザ選択、その後メニュー表示
遠征開始時のロード約20秒遠征選択後に発生するロード
このロードの後装備購入画面となり、「遠征を始める」で島に近付くデモの開始(ボタンを押すとでも加速)
一時中断からのロード(パリ)3~4秒
(遠征中)約25秒
パリでセーブしている場合は即再開
遠征中の状態へのロードは少し時間がかかる

 前作同様、各ステージの度にマップ生成が行われますが、基本的にロードはそれだけ。ゲーム中にロード時間が気になる事は無いと思います。

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