Dicey Dungeons(ダイシーダンジョンズ)

レビュー
出典:My Nintendo Store

アイデアは見事。しかし一部バランスに難あり

  Dicey Dungeonsは公式の記載では「デッキ構築バトルゲーム」です。
デッキ構築という事で、ジャンル的には本サイトでも紹介済みの「Slay the Spire」に属するものですが、Slay the Spireが大体20枚くらいのカードで、かつカードのみで戦うのに対し、本ゲームはカードは装備品扱いで大体数枚、そしてタイトルの通りバトルではサイコロが重要な意味を持ちます。
 詳しくはゲーム概要で触れて行きましょう。

 なお、執筆時点では完全クリアには至っておらず、全キャラのクリア後に解放されるはずの要素がまだ解禁できていない状態ですので、その点はご了承ください。

ゲーム概要

 ゲームはストーリーのみですが、2021年11月にハロウィンバージョンのアップデートでモードが追加されております。本サイトではこちらのアップロード分は含めず、通常のストーリーモードについてのみ触れます。 

 プレイヤーキャラは全部で6人。レディラックという女性が主催する「何でも願いの叶うゲームショー」(Dicey Dungeonsはこのゲームショーの名前という設定)にサイコロの姿に変身して参加し、ボスを倒してクリアを目指します。
 全部で5層+最後のボス戦の階層が存在し、それぞれの階層に敵や宝箱、お店などが存在します。ローグライクゲームなのですがあまりマップの変化は無く、各階層の敵や宝箱の数は同じで、敵の種類や手に入る装備品がランダムです。敵の数が決まっているので全部倒せばちょうど最大レベルで最後のボスに挑めます。

 バトルは一対一で行われ、プレイヤーは装備品(カード)を使って戦うことなりますが、ここでサイコロが重要となります。プレイヤーによって戦い方は様々なのですが、基本的な戦士を例にすると、数個のサイコロが振られた状態で場に置かれていて、そのサイコロの値がカードの強さになります。
 例えばサイコロを装備品である剣に適用する場合、サイコロの値が2ならダメージも2、6ならダメージも6、一方で盾に適用するなら防御値が2や6増加する、という感じです。
 もちろん装備品も様々で、サイコロの数が奇数、偶数でないと使う事が出来ないとか、1の時に限り追加効果が発生する等の特性があり、必ずしも出目の多いサイコロが有利というわけではありません。このサイコロと装備品をどのように組み合わせて使うかが戦いの行方を左右します。
 また、ダメージを受けるとリミットゲージが溜まっていき、一定数で「リミットブレイク」状態となり特別なスキルが使えます。これはキャラごとに異なる効果を発揮し、いずれも展開を有利にしてくれます。

 装備品のスペースは横3×縦2の6マスで表現され、装備品には1×1サイズのものと縦2マスを使うものの二種類存在するため、3~6個までの装備品をバトルで使うことが出来ます。入りきらない分はバックパックに置かれますが、こちらの容量は大きいので通常プレイで持ちきれなくなることは無いと思われます。
 面白いのは装備品のアップデートで、単純に性能が上がるものだけでなく、縦2マスだったものが1×1サイズに縮小するというアップデートもあります。
 とにかく、ここでは書ききれないほど本ゲームでは装備品が重要であり、その理解がゲーム攻略の大きなカギとなります。(と言いつつ、筆者も完全にクリアできていないのですが)

 また、キャラはゲーム進行とともに解禁されていくのですが、それぞれかなり特色が有ります。さらに難易度が上がると特殊なルールが設定され、時には別ゲームを遊んでいるかのようなプレイ感覚になります。

良い所

シンプルに見えて練られたゲームシステム

 ゲーム概要にも書きましたが、サイコロ運が良ければ必ずしも勝てる、というゲームではありません。こちらの装備品はもちろん、敵の行動も考慮して戦略的な対応が迫られます。
 最初の方はどのキャラでも簡単なのですが、クリアするたびに解禁される難易度の中には、例えばレベルアップで逆に最大HPが下がったりサイコロの数が巡目に応じて固定だったりと、実に様々な設定で、よくこれだけのルールを考えてゲームが成り立つように調整したなと感心するばかりです。
 最初の方は拍子抜けするほど簡単に感じると思いますが、ゲームを進めていくと単調に感じる事は無く、最後の方はこのゲーム本気の難易度を味わう事が出来るでしょう。

ワンゲームが短く、遊びやすい

 ローグライクと言うと長丁場のイメージが強いのですが、本ゲームは階層や敵の数が毎回固定で、全体的に短めに設定されています。大体、最後まで通して30~40分ほどでしょうか?これ位だと中だるみせず、ちょっと空いた時間に気軽に挑戦できます。
 もちろんワンゲームが短いだけで、各プレイヤーごとに6段階(さらに最後の難易度はクリア後にハードモード解禁)の難易度があり、最後の方はどれも歯ごたえがあるのでゲームのボリューム自体は十分に有ります。

賛否両論っぽいところ

行動パターンが決まりがち

 前述のように敵やアイテムの内容はランダムでも、その数自体は固定なので、大体同じような展開になります。例えばレベルアップで体力が全快する仕様で、最終ボス前の最後の一戦でちょうど最大レベルになるため、最終戦前の回復を考える必要がありません。
 また、何度か遊んでいると大体どの装備が強くて、何をアップデートすれば良いかもわかってくるため、アップデートやお店でのお金の使い道も大体決まってきます。
 難易度が変わると今までの戦略が通用しなくなることもあり、作業にはなりにくいですが、ある難易度が打開できず何度も挑戦するような事態になった場合、連続して挑戦するのは嫌気がさしてしまう事もあるでしょう。

サイコロ運に若干の疑問が

 これは筆者のリアルラックの問題なのかもしれませんが、敵のサイコロの出目が操作されているのではないか?という疑問が有ります。具体的には敵の装備品の中に「出たサイコロの中にゾロ目が有ったら使える装備」があるのですが、特に後半に出てくる敵はこのゾロ目を当然のように毎ターン出してきます。
 何度もやっていると「そういうものだ」と使ってくる前提で対処できるようになりますが、どことなく釈然としない気持ちはあります。自分の気のせいだけかも知れませんが…

イマイチに思うところ

敵の方が有利なゲームバランス

 敵には装備品と言う概念がないので、行動パターンやサイコロの数が固定です。バトル中でも敵スキルの確認ができます。
 それはゲーム上当然だと思うのですが、一部の敵はかなり凶悪な攻撃手段を持っています。一例をあげるとクラーケンという敵が居るのですが、この敵は自分のサイコロを不可視にする攻撃を行ってきます。他にも不可視を持っている敵は居るのですが、大抵は左の1~2個まで、この程度なら何とかなります。しかしこの敵は何故か4個も不可視、つまりほとんど自分のサイコロが見えない状態になってしまい、加えてかなりの頻度で呪いも同時にかけてきます。
 このゲームにおいて「サイコロ全てが見えない」と言うのはシステムの根本を否定するような最悪のバッドステータスで、基本的に運頼みで切り抜けることになり、正直言って楽しい戦いではありません。
 実際、私もこのクラーケンに確実に一番負けています。

 他にも、難易度によっては初期装備に「サイコロの数が3以下で無いと攻撃できない装備品」を持たされて始まることがあり、その時にサイコロの出目が悪いと一切攻撃できずに序盤であっさり敗退する事も有ります。
 このあたりのゲームバランスはもう少し考慮してもらいたかったところです。体力全快で挑めることもあり、このゲームはボス戦よりも道中の方が難しいかもしれません。

自分が上達したのかどうか分かりにくい

 やはりベースがサイコロという事で、ある程度ゲームスキルが上達しても、敵味方含めたサイコロ運で決まってしまう感があります。
 もちろん、サイコロ運に頼らない装備構成(例えば偶数の時に使える装備品と奇数の時に使える装備品を両方持っていれば、サイコロが腐らない)になれば良いのですが、狙った装備品が入手できるかどうかも運なので、難しい難易度をクリアできた時も、「良い装備品が拾えたから」とか、「サイコロ運が良かったから」という感想になりがちです。
 プレイヤーが任意で介入できるアクションとしてはリミットブレイクが有りますが、これもキャラによっては一発逆転と言えるほどの劇的な効果は無く(特に盗賊)、後半は通用しない事が多々あります。(もちろん相乗効果のある装備で臨めば強いのですが、その装備が手に入るかどうかも上記の通り運なので)

 もちろんサイコロを振った目で勝負するゲームなので運が絡むのは仕方ない事ですが、いまいち自分が上達したから勝てた、という実感の湧きにくいゲームです。
 もう少しやり込めば勝率の上がる戦略が見えるような気はするのですが、そこまでやり込むほどには思い入れを持てない、そんな評価になります。
 どこかに良くまとまった攻略サイトでもあれば良いですね。(他人任せ)

まとめ

 ゲームの方向性としては悪くないと思います。特に最初のキャラである戦士はいわゆるイージーモードで遊びやすく、かと言って色々考えないとクリアまで辿り着けない良バランスで、最後まで楽しく遊べました。
 一方で戦士以外のキャラに癖があり過ぎて、後半の難易度は運の要素が極めて高くなって、どうやっても勝ち目が無い状況に追い込まれてしまう点が残念に感じました。

 前述の通りワンプレイは短めなので、運試しのつもりで気軽に遊んだり、逆にしっかりやり込んで運任せにせず己のスキルで打開できる人なら楽しめるのではないかと思います。
 個人的には難しすぎて完全クリアは諦めているものの、購入した事自体には後悔してはいません。よく練られたゲームであることは保証します。

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からタイトル画面表示 約11秒起動後、タイトル画面が表示されるまでの時間
途中メーカーロゴなどは無し
設定を決めてゲームスタート8~11秒操作開始可能になるまでの時間
4~5秒のロード、その後レディラックの前口上
前口上はAボタンで早送りできるものの、完全スキップはできない

 全体的にロードは短めで、気楽に出来るゲーム性を後押ししています。特にタイトルロゴ無しでいきなりタイトル画面を表示してくれるのは好印象です。

コメント

  1. とおりすがり より:

    せっかくいいゲームなのに出目の操作が、面白さを下げてますよね。
    違う方法で難易度調整をして欲しかったです。

    • yms より:

      コメントありがとうございます。同感です。
      ゲームとして面白くするためにCPU有利にするのはある程度必要なのでしょうけど、
      それが誰が見ても分かってしまうサイコロに反映したのが不公平感に繋がってしまいましたね。

タイトルとURLをコピーしました