一言で言えばマップの無い「不思議のダンジョン」
ゲームの画像だけ見たら「カードゲームかな?」と思ってしまう本作品。本サイトでもレビュー済みの「Sray the Spire」ライクなのかと思いきや、実は敵やアイテムがカードで表現されているだけの不思議のダンジョンなのです。(私も実際に購入しようと調べてみるまで勘違いしていました)
そのシンプルさゆえに、短いゲームプレイの中で実にたくさんの選択肢を突き付けられます。
ゲーム概要
プレイヤーには記憶が無く、なぜ自分がここに居るのか、なぜ進むのかも分からない有様。「フクロウ」と名乗るフクロウ(らしき生物)から、光を灯すように言われ、訳も分からないまま進むことになります。
最初に述べた通り、このゲームは不思議のダンジョン。探索要素は無く、タイトルが示す通りリング状に並んだカードがマップ替わりです。プレイヤーは現在位置の二枚のカードに何らかのアクションを取るか、あるいは右/左に進むかを選択していきます。代表的なカードは敵、宝箱、ポーション、ステータスアップ、次の階層への出口と言った感じ。最深部である16階層を目指す事になります。
宝箱(このゲームではミミック)から手に入るアイテムは二つの選択肢から選べて、ローグライクなので当然ランダムです。どちらも気に入らないアイテムの場合、ソウル(=お金に相当)を消費してシャッフルもできます。
装備可能な場所は13か所と、非常にたくさんあります。さらに任意の時に発動できる魔法の本(一度使うとクールタイム発生)と巻物(こちらは一度使ったら消える)で、全装備を揃わせるのはなかなか大変です。
ただ、装備を揃えれば有利かと言うとそうでもなく「装備数が4以下の場合は○○」のように、装備数が少ない時に限り効果を発揮する装備も有ります。序盤は頼もしいですが、装備が揃ってきたら腐りますし、かといって少ない装備のまま進むのも…というジレンマが有ります。
戦闘は運要素が少なく、プレイヤーも敵も攻撃は必中です。戦闘での運要素は、素早さが同一の場合にどちらが先手を取るかが50%の確率となる事と、クリティカルと受け流し(どちらもステータスで示される確率の値で発し)、後は装備中アイテムによる効果です。
なお敵の攻撃に「貫通ダメージ」という値が設定されている場合があり、この値は防御の値に関係なく受けてしまいます。
また、逃げる場合(敵カードが存在する方向に移動)、ステルスの判定が行われます。失敗すると、その敵から攻撃されてしまいます。成功率は明記されているので、よほど成功率が高くない限り、逃げる時はダメージを覚悟しておいた方が良いでしょう。
上記のようにノーダメージで切り抜ける事が難しいゲームシステムとなっており、無駄な戦闘を避けたり、ポーションなどで回復できる状況を確保する必要があります。強気にお宝を回収するか、先を見越して今の階層はさっさと逃げてしまうか。見た目は違えど、迫られる判断は不思議のダンジョンのそれです。(言い忘れましたが、満腹度はありません)
良い所
ちょっとした空き時間で気軽に遊べるゲーム性
このゲーム、展開が非常に速いです。何しろ探索要素が有りませんので、一つ一つの階層はすぐ終わります。順調にいけば、30分位で16階層目までたどり着けるでしょう(階層の間にお店や特殊ステージが有りますし、16階層で終わりではないので、実際はもっと戦う機会が多いです)
ちょっとした時間が出来たときに気分転換に気軽に遊べます。ゲームオーバー時も実にあっさりで、つい再戦したくなります。不思議のダンジョンと言えばひたすら地下に潜り続けるゲームでワンプレイが非常に長くなってしまうイメージがありますが、このゲームは余計な部分をバッサリ斬り落としながらも不思議なダンジョンの感覚はちゃんと残っている、時間の無い方には嬉しいゲーム性となっています。
ロード時間も短く動作も軽快で、繰り返し遊ぶ上でのストレスはありません…が、初回起動時のロードだけは長いのでご注意を。(後述「主なロード時間」参照)
強力なシナジーを引き出せた時の爽快感
装備の中には、他の装備と組み合わせた際に真価を発揮するものがあります。分かりやすいのは「敵を凍らせる装備」と「凍った敵に対してダメージが増加する装備」など。
この辺の装備がばっちり組み合わさると、「回復しているだけなのに勝手に敵が死んでいく」という状況すら作り出す事ができ、こうなれば怖いものなしです。
もちろん、どのような装備の組み合わせが強いのかは自分で見つけなければなりません。プレイ中、強力なシナジーを発揮するカードが引けた時の爽快感はかなりのものです 。
賛否両論っぽいところ
癖の多い装備が多い
普通のRPGでは、武器や防具を装備すれば強くなるもの。しかし本作では、「攻撃時に毒を与える代わりに攻撃力が下がるナイフ」とか、「素早さが10上がるけど、先攻後攻の判定が逆になるパンツ」など、メリットとデメリットが明確な装備が多いです。もちろん、その取捨選択もゲームの肝だとは思うのですが、ゲーム後半になってもあまり強くなれずジリ貧になる、というパターンが多いです。
また、序盤は攻撃力が無いと非常に厳しくシャッフルするためのソウルも少ないため、まともな武器を拾えないと早々にゲームオーバーになってしまい、難しいと言うよりも理不尽に感じます。
クリアは特定の装備を引けるかどうか次第?
少なくとも筆者が一周できた時、またクリア寸前まで行った際は、ソウル(お金に相当)を消費する代わりに敵に大ダメージを与えられる魔法書「魂掃射の書」に頼りきりでした。
育て方も悪いのでしょうが、終盤ではステータスが敵に全く追い付かず、こちらは1ダメージしか与えれないのに敵はほとんどが二桁ダメージ、素早さも足りず後手に回らざるを得ない状態で、まともに戦えません。今のところ上記の 「魂掃射の書」 を引けるかどうかがクリアの正否に直結します。
他にも敵を無効化できる凍結が強力なので、もっと装備の特色や敵の弱点を把握できれば他の戦い方もあるのでしょうし、それを見付ける事がこのゲームの楽しいところだと思いますが、そのレベルまでゲームを理解するよりも先に諦めてしまう方も多いと思います。
ただ評価点として、このゲームは継続的にアップデートが行われています。全てはチェックできていませんが、このような装備品の良し悪しは今後もバランス調整が行われる可能性が高いです。
イマイチに思うところ
実績を解除すればするほど難しくなるシステム
本作は、装備箇所が多いせいもあってか、実にたくさんのアイテムが登場します。ただでさえ多いのに、実績を解除した場合に新装備が解禁されたり、アップデートで追加されることもあります。
筆者執筆時点でアイテムは320以上。まだ見た事の無いアイテムも結構あります。
もちろん強い装備が解禁されることもあるのですが、困った事に、アイテムが増える分、狙ったアイテムを引き当てる可能性が低くなってしまいます。せっかく強い組み合わせを知っていても、プレイ中に引けなければ意味が有りません。
実績を解放するという事はそれだけプレイに慣れてきたはずなので、プレイヤースキルで突破しろ、という事なのでしょうけど…
やり過ぎると簡単になってしまうとは思いますが、個数制限があっても良いので、プレイ中に登場させたくない装備を選べたら、と思ってしまいます。(Switchにも出ている「Dead Cells」など、そういった設定を行えるローグライクゲームもあります)
説明不足、初見殺しが目立つ
これは翻訳の問題もあるかも知れませんが、装備品やイベントの説明が分かりにくい所があります。そもそものストーリーもなにやら秘密めいたセリフがたくさん出てきますが、結局何を言いたいのか分かりません。
また、一部の強力な敵は周りの敵を吸収してどんどん強くなっていき、初見では気付いた頃には一回で100ダメージ以上のゲームオーバー確定状態になったりします。
特殊ステージも何の説明も無い所がほとんどで、何度もプレイして自分で効果を推測するしかありません。攻略サイトもあるにはありますが、しっかり整ったものは無い印象です。
制作者の意図としてはそういった強敵や謎をプレイヤー自身で打開してほしい、という事なのでしょうが、悲しいかな世にゲームは星の数ほどあり、このゲームのためにそこまで熱を入れて取り組みたいかと言われると「そこまでしたくない」と言うのが本音になってしまいます。
まとめ
製作者が意図したかどうかはさておき、不思議のダンジョンから探索要素を取り払ったような本作。
私は不思議のダンジョンの系列のゲームは好きではあるのですが、最終やり込みである99階ダンジョンなどは長すぎて嫌になってしまいます。確かに長く楽しめはしますが、自分にとっては苦行に感じてしまいます。
このゲームではかなり思い切った削ぎ落しを行っているので人を選ぶかもしれませんが、上記のような思いを持っている方には検討していただきたいゲームとなっています。体験版も有りますので、まずはそちらで試してみる価値はあると思います。
主なロード時間(演出による待ち時間含む)
計測対象 | 待ち時間 | 備考 |
---|---|---|
起動からタイトル画面表示 | 38~39秒 | 起動後、タイトル画面が表示されるまでの時間 最初のメーカーロゴはスキップ不可 メーカーロゴ→ローディング画面→タイトル画面 |
プレイ中はロードが無く快適に遊べる分、起動時に少し待たされる感じはします。ロゴもスキップできませんし。(ロゴのあとでローディング画面が表示されますが、ロゴ表示中もロードしているのかも知れません)
ですが、Switchの強みであるスリープ機能も有るので、一度起動して繰り返し遊ぶ分には気にならない快適さです。
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