Slay the Spire

レビュー
出典:My Nintendo Store

デッキ構築型ローグライクの傑作

 ローグライクはよく聞くけれど、デッキ構築型ゲームとは何ぞや?という方も多いでしょう。
様々な効果を持つカードのセット(デッキ)を少しずつ強くして行ってクリアを狙うゲームの事です。かく言う私もこのSlay the Spireで初めて遊びましたが、TVゲームとしてだけでなく物理的なカードとしても愛好家は多いようですね。

ゲーム概要

 異なる特性を持つ四人の中からプレイヤーを一人選び、塔を登っていくというゲームです。塔と言ってもゲーム中はあまり意識する機会が無く、三つのステージをすごろくで言うマスを一つずつ進み、それぞれ最後に居るボスを倒します。

 マスの種類は敵との戦闘、宝箱発見、ランダムイベント、ショップの四種類。何も無いマスは存在しないので、残り体力やカードの強さを考慮しながら、どの道を進むのか決断していく事になります。

 戦闘では手持ちのカード(山札)の中から何枚か(通常は5枚)引き、その中から自分の行動を選びます。何でも選べるというわけではなく、エナジーという値が設定されており(初期値は3)、カードを使う度にそのカードに設定されたコスト分、エナジーが減っていきます。
カードのコストは基本は1、強めのカードなら2以上、弱いけど便利なカードとしてコスト0、といった具合です。変わったもので、全エナジーを消費するカードもあります。
カードには以下の四種類あります。

  • アタック:攻撃を行う
  • スキル:防御や敵の弱体化など様々な効果を持つ
  • パワー:戦闘が終わるまで、プレイヤーに特殊効果を付与する
  • 状態異常/呪い:使う事ができず、プレイヤーに悪影響を及ぼすお邪魔カード

 各ターンでは、敵の行動予想が表示されます。行動予想を見れば、このターン自分がどれだけダメージを受けるのか、もしくは安全なのか分かります。ちなみに攻撃ミスやクリティカルのような概念は存在せず、こちらの攻撃は必中、相手の攻撃も必中で数字通りの結果となります。
ノーガードで戦えばいずれ力尽きますので、重要になるのがシールドの概念。カードの利用などでシールド値が増えると、敵からのダメージをその分減らしてくれます。もちろん、敵もシールドを使ってきます。
上述のように山札からカードを引く事になるので、運が悪いと手札に防御カードが一切無い状態で戦う羽目になります。逆に一切攻撃が出来ない事もあります。

 これだけだと運ゲーに見えますが、自分を強化するパワーや、スキルの中には山札からカードを引いたり、敵の攻撃力自体を減らして結果的にダメージを抑える事ができるものもあります。現在のターンで引いたカードの中から、如何に最適な行動を取れるか。これがこのゲームの肝となっています。

 また、他にプレイヤーをサポートするものとして、ポーションやレリック(いわゆるアイテム)が存在します。
 ポーションはいつでも使うことができ、追加でカードを引いたりシールド値を上げたりでき、使いどころを間違えなければ非常に役立ちます。
一方レリックは手に入れた瞬間有効になるもの(お金が手に入るなど)と、パッシブ効果を持つものが有り、後者はプレイヤーや敵の行動に対して様々なリアクションが発生します。この効果もまた重要なもので、強力なレリックと相性の良いカードがあれば勝ち確定の流れに持っていく事も可能になります。

良い所

とにかく楽しい (語彙消失)

 正直に言って筆者はこのゲーム、非常に気に入っております。画面は地味ですが、強化カードが上手くはまって強敵をほぼ完封できた時の爽快感は格別ですし、負けても「あそこでポーションを使えばよかった」とか「あのカードは拾わずに無視すべきだった」等のように原因を考えていると、すぐにでも次のゲームを再開したくなる中毒性が有ります。

何度も挑みたくなる中毒性

 難易度も絶妙です。このゲーム、一度クリアすると「登頂モード(Steam版ではアセンション)」というモードが解禁され、隠しボスへの道が開かれると共に段階的に敵が強くなったりプレイヤーが不利にされたりと制約が追加されていく、要は難易度の指標なのですが、その値が5の時点でこんなのクリアできるか!と一度挫折しました。(最大はなんと20)
ですが、その後も時々攻略サイトを見て回ったりして、少しコツをつかんで何とか10までクリアすることが出来ました(これでもまだ半分)
もちろん運もあるのですが、やはりプレイヤーの知識と経験、これは裏切りません。取り組みがいのあるゲームです。

快適なゲーム体験

 また、ゲーム自体も実に快適です。基本的にロードなど発生しないですし、攻撃のエフェクトなども簡潔で分かりやすい。クリアまでに必要なマス数も50と丁度良い長さで、私の場合だと1~1時間半くらいでクリアまでたどり着けます。
 実績の中には「20分以内にクリア」というのもあるので、慣れている方なら私よりずっと早くワンプレイを回せると思います。
 何度も繰り返しプレイしたくなるのはそれが苦にならない快適さに依る処も大きいでしょう。
 また、開発者によるカード効果の見直しも何度もされており、バランス調整に意欲的なのも好感が持てるポイントです。

賛否両論っぽいところ

言いたくないけどステージボスは運ゲー?

 運は重要ではありますが、例え運が悪くてもプレイヤースキルでカバーしてこそ…。と言うべきところですが、ステージボスの仕様はやはり運要素が強いと言いたくなってしまいます。
 このゲーム、各ステージにボスが三種類いるのですが、そのどれと戦うのかもランダムです。ステージ中の敵は、通常敵の他にレリックがもらえるエリートという敵がおり、これも種類によっては理不尽なまでに強かったりするのですが、これは現在のHPやカードの強さから強気に戦うべきか回避すべきか選ぶことができます。しかしステージボスは必ず戦わなければなりません。
 プレイヤーは前述の通り四人から選べますが、それぞれの個性の違いから、どうしても相性の悪いステージボスが居ます。相性最悪のステージボスを引いてしまうと、順調に育ったプレイヤーがただの一戦で壊滅状態に。
 各ステージの最初にステージボスは明らかになっているので、その時点から対策を練っておくのが本来の楽しみ方なのでしょう。これを運ゲーと言ってしまう事への批判は予想されますが、せめて選べたらなあというのが正直な感想です。

時間泥棒過ぎて辛い

 ここまで褒めちぎってきたSlay the Spire、実は最近プレイしておりません。
 このゲームで遊んでると時間が溶けすぎて、本気で実生活に影響が出てきます。布団に入って寝る前にワンゲームとSwitchを取り出してしまったが最後、朝になっていたことが冗談でなく何度かありました。
 そのため封印せざるを得なくなったのです。いつの日か時間があまってしまって仕方がない時、その時は恐らくSwitchではない別のゲーム機かパソコンで遊ぶことになるでしょうが、どうかその時までSlay the Spireが遊べる環境が残っていてくれたらと思います。
 まあ、そんなこと言っていずれ我慢できなくなってまた遊ぶのでしょうけど。

イマイチに思うところ

もはやカードゲームが好きかどうかの問題

 筆者にとっては、不満は無いと断言できます。ゲーム性、快適性、中毒性、どれをとっても一級品です。間違いなく筆者が今まで遊んできたゲームの中でも上位にランクインされるゲームです。
 ただ、そもそもジャンルがデッキ構築型ローグライクゲーム。ここにピンとこない人には面白くは無いでしょう。アクションゲームやシューティングゲームしか遊ばない、という人にこれをお勧めする気はありません。

まとめ

 アクションみたいなせわしないのは苦手で、じっくり考えられるゲームが良い。
 一回クリアして終わりじゃなく、何度も繰り返し遊びたい。
 こんな方には文句無しにお勧めできるゲームです。でも、難易度は結構高いですし、何より自制できないと実生活を壊しかねない、危険なゲームでもありますが。

 それでも、やはりこのゲームの魅力を知る人が増えてくれれば嬉しい、そう思わずにはいられな名作だと思います。気になった方は是非!

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からの最速ゲーム開始 26~28秒起動~スタンダードモードを選んでプレイヤー選択画面が出るまでの時間
最初のメーカーロゴはスキップ可能だが、調子に乗って連打してるとプレイヤーがアイアンクラッドになってしまうので注意
ステージ間のロード5秒各層ボス撃破後の戦利品を選び、次の階層がスタートするまでの時間

基本的に、ソフト起動からのゲーム開始以外で待たされる感覚はほとんどありません。

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