Warriors of the Nile ~太陽の勇士~2

レビュー
出典:My Nintendo Store

シンプルながら上手くまとまったローグライクストラテジー

 本作は「ハイテンポローグライクストラテジーゲーム」と銘打たれた、戦闘パートが一画面で収まるマップで行われる、シンプルなローグライクストラテジーです。タイトルにある通りシリーズものであり、前作はSteamで配信されていますが、Switchでは配信されていません。ただ、ストーリー的な繋がりは無いので問題無くプレイできます。

 ストラテジーでありながらハイテンポを目指した本作は、結果的に取捨選択に成功して表題通りのゲームになれたと言えるでしょう。

ゲーム概要

 舞台は古代エジプト。侵略してきたローマ軍を撃退するのが目的ですが、敵味方共に神々が背後に存在するため、モンスター等も登場するファンタジー的味付けがされています。
 プレイヤーは三人パーティーを組んで遠征に出発するのですが、戦士枠(タンク型)、狩人枠(遠距離もしくはヒット&アウェイ型)、魔法枠で固定されており、各枠に4人ずつ用意されているキャラから選択する形です。そのため全員戦士や全員魔法使いのような偏った構成は不可能になっています。

 遠征はマップを一つずつ進む形で、戦闘もしくはショップ訪問が発生します。戦闘とショップ以外のイベントが一切なく、非常にスピーディーにゲームが進行します。この手のローグライクでは何かしらの取捨選択を迫られるイベントが発生する作品が多いですが、本作はこういった要素を一切排除しているのも特徴です。

一本道のマップを右上に向かって一マスずつ移動する。ショップや戦闘は最大三つから選ぶ事が可能

 戦闘は前述の通り一画面に収まるマップで、常に全体を俯瞰できます。お互いの距離が近いためすぐに接敵となるため一戦闘当たりの時間は短いです。当然のことながら、報酬が多い分敵も強いエリート戦も存在します。(最大三択から選択)
 戦闘システムの特徴としては、体力以外に毎ターン張り直す防御値が存在し、被攻撃時はまず防御値が先に減り、ゼロになった時点で体力が減る、本サイトでもレビュー済みの「The Last Spell」と同じシステムが存在します。
 これによりただの削り合いではなく、防御値と配置の工夫でノーダメージで戦闘を突破する戦略性も生まれてきます。

戦闘は一画面内で行われるため戦略が立てやすい。キャラ絵が横向きなのは古代エジプトの壁画をイメージしていると思われる

 戦闘に勝利すると「石板」、「銀貨」、「ファラオコイン」、「宝箱」を得ることができます。石板は各キャラのスキルに相当するもので、これを集めていく事でキャラを強化できます。逆に、戦闘によって経験を積んでレベルアップするような要素はありません。
 石板は各枠につき一枚ずつ三枚出現しますが、選べるのは一枚だけです。特に制限は無いので、一人に集中して石板を取得して徹底的に強化させる事も可能です。
 銀貨とファラオコインは通貨で、ショップでの武器やアクセサリ購入の他、復活や碑文建設など様々な用途に使います。碑文建設は石板とは別枠でパーティーを強化できるバフ効果が付くもので、装備とバフをどのように強化するかも重要な要素になります。

 各面のマップの最後にはボス戦があり、これをクリアする事で次の面に進むことができます。ボスは各面2~3種類ずつ存在し、どのボスと戦うかはランダムとなります。3面クリアすると(当面は)ゲームクリアとなります。 
 ゲームオーバー、もしくはゲームクリアすると進行に応じたスコアが入手でき、これを使ってローグライクお馴染みの永続強化が行えます。これによりショップの品揃えを良くしたり、新たなプレイヤーキャラの解放ができます。
 またこのタイミングで各プレイヤーキャラにも経験値が入り、レベルアップによって固有スキルやステータスの底上げ、固有武器の解放が行えます。

良い所

一画面ながら奥深い戦闘

 最初に戦闘画面を見た時は、マップが狭くて戦略性はあまり期待できないのかなと感じてしまいました。しかし実際は思いのほか戦略性が高く、かなり楽しめる作りになっています。

 一つにはマップが小さいためにお互いに総力戦となりやすく、こちらは三人だけなので一人一人がしっかり役割を果たさないとすぐに崩壊してしまう点が挙げられます。特に狩人枠、魔法枠のキャラは基本的に防御値が存在しない上に体力も低く、無防備な状態で数発攻撃を受けてしまえば簡単に死んでしまいます。しかも戦闘に勝利しても基本的に体力は回復しません。(特定のスキルやアクセサリで回復できますが、それも微妙な回復量です)
 特にスキルの揃わない序盤は、一つ一つの戦闘でミスをしないように気を付ける必要があります。

 もう一つはプレイヤーキャラがいずれも個性的な事です。例えば最初の戦士(戦鎌勇士)は高めの防御値に加え防御スキルも覚えるガード型なのですが、その次に解放される戦士(王陵武士)は防御値を持たず体力が低下すると狂戦士化して強くなるというダメージを受けることが前提の性能となっています。
 そのため、パーティーが一人変わるだけでかなりプレイ感覚が変わり、新鮮な気持ちで遊ぶ事ができます。

豊富な解放要素

 ローグライクでは定番ですが、最初のクリアまではチュートリアルで、以降は様々な制約を付けて難易度を上げて挑戦する事になります。
 一つ一つの戦闘が短いおかげで3面クリアまでは大体1時間半~2時間程度で収まり、周回はそれほど苦ではありません。また使用キャラも各枠4人と書きましたが、うち三人には後に衣装チェンジが解放され、この時に性能自体にも変化があります。そのため実質一枠7人となり、組み合わせは実に343通りとなります。

 キャラのレベルアップによる開放も1レベルにつき1つ解放とシンプルで、かつレベルMAX後は特定の条件クリアで追加の開放要素があったり、3面クリア後に更に4面が追加されるなど、地味ながら各種要素が非常に数多く、達成感があります。
 なお、追加される4面はかなり難しく、3面ラスボスをノーダメージで切り抜けられたパーティーですら雑魚戦2回目で全滅しました。どうやら4面からが本領のようです。

賛否両論っぽいところ

圧倒的なスキルの存在で生まれるキャラ格差

 各アイテムや石板には、緑(コモン)<青(アンコモン)<紫(レア)<金(レジェンダリー)というレアリティが設定されています。本作では、高レアにおけるスキルが非常に強力となっています。

 特に最初に解放されている戦士(戦鎌勇士)は初期状態で正面+その両隣の3マスを攻撃できるのですが、この攻撃範囲を拡張するスキルによって、驚きの9マスと三倍にも拡張されます。
 戦闘時のマップが狭い関係で、9マスともなると大半の敵を攻撃できてしまいます。しかも他のスキルとの併用で攻撃範囲内の敵を一体でも倒せたら再攻撃できたり、直接攻撃ユニットにも関わらず射程+1など、後半になればなるほど異常な強さになっていき、負けるのが難しくなるほどです。

金色石板によって大きく広がった攻撃エリア。ここまで来ると一人で敵を蹂躙できる(高難易度だとこれでも油断できない)

 このスキルは金色石板、つまり最高レアのスキルではあるのですが、各面のボスを倒した後に確定で金色石板が出るので、割と高い確率で取得できてしまいます。(もちろん、通常戦闘の報酬でも出現する可能性が有ります)

 他のキャラも育成次第でかなり強くなるのですが、どうしてもキャラ格差は感じてしまいます。私が使いこなせていないだけかもしれませんが、二人目の戦士(王陵武士)は比較してかなり使いにくく、特に高難度の戦士枠には選びにくいです。

解放直後のキャラは足手まとい

 要素の解放によって新キャラが解放される事はすでに書きましたが、レベルアップによって基礎攻撃力や防御値など重要なステータスを上げる事になるため、初期状態はかなり弱いです。
 クリアできたパーティーのメンバー一人を初期状態のキャラに変えただけで戦力がガタ落ちし、1面ボスすら倒せない、という事がざらにあります。

 もちろんキャラ強化も重要な要素ですが、新キャラ解放後しばらくは育成期間として割り切る必要があります。上手な方であれば初期状態でもクリアできるかもしれませんね。

イマイチに思うところ

視認性が少し悪い

 全体を通して明るいイメージのある絵作りですが、危険範囲表示のマスは少し淡い色になっており、もう少し見やすくても良いと思いました。特に、1ターンチャージ後の攻撃の予測範囲はキャラが上に乗っていると見分けが付きにくく、回避したつもりが当たった事もあります。
 ただし、この攻撃については攻撃中の敵キャラにカーソルを合わせると危険範囲が強調表示されるため、この操作を忘れなければ問題ありません。

 また、装備確認画面などもかなりコンパクトにまとめられているため、それぞれの詳細を見るのは特に携帯モードだと字が小さくて長時間は厳しいです。と言っても読める範囲ですので、こういった画面い手を入れてテンポが遅くなってしまうよりは良いかもしれません。
 最後に、少々誤字や文字化けはありますが、意味が分からない、というレベルのものはありませんでした。

初見殺し要素の存在

 特に終盤の面で顕著なのですが、敵を倒したと思ったら復活して、しかも即行動してくる敵が何種類かいます。
 そのため、ぎりぎりで倒せた、と思ったら複数の供回りと共に復活して、前に出ていたキャラが集中攻撃を受けて一瞬で沈む、という納得の行かない展開になる事があります。一周が短めとは言っても終盤での初見殺しは中々厳しいものがあります。

まとめ

 オーソドックスながらも育成によって無双できたり、高難度になるとかなり歯ごたえのあるバランスになるなど、値段的で考えればかなり頑張っている作品と言えます。
 ストラテジーというジャンルは長丁場になりやすい傾向にありますが、本作は「ハイテンポローグライクストラテジーゲーム」の名の通り余計な要素を排除して展開の速い爽快なゲームバランスを実現しているので、好きだけどあまり時間を割けない人や、これからストラテジーに触れてみたい、と言う方にはお勧めできます。

主なロード時間(演出による待ち時間含む)

計測対象待ち時間備考
起動からタイトル画面まで 約28秒起動後のメーカーロゴはスキップ不可
タイトル画面から開始プレイ 約10秒操作可能になるまでの時間
各面スタート時のロード 約15秒ボス撃破後、次の面に進んでから操作可能になるまで

 起動から前回プレイのロードの他、次の面に進む際のロードが存在します。ぱっと見それほど重い処理をしているゲームに見えないため、面の間のロードはやや気になります。

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